お客様事例

創業時から代表と二人三脚でPRを実施。
プラスチックリサイクルをBtoBニッチなトピックから世の中ゴトに繋げていく

株式会社esa様

お話を伺った方

代表取締役CEO黒川 周子 様

株式会社esa

https://esa-gl.com/

プラスチックのリサイクルを中心とした環境事業を提供するスタートアップ、株式会社esa様のPR伴走支援をkushamiで行っております。

再生プラスチックというと工業分野の技術的な話になりがちで、届けたい相手や世の中にどのようにわかりやすく価値を伝えていくかという課題がありました。
2022年の起業からどのようなコンセプトでPR施策を実施してきたのか、esaの代表取締役CEOである黒川さんと担当したkushami飯嶋との対談にて振り返りました。

  • スタートアップ

一見、とっつきづらい事業と外の世界との接点をデザインする

どういったきっかけでkushamiにPR支援を依頼されたのでしょう

黒川

esaでは、リサイクルが難しく、これまで産廃処理に出すしかなかった複合プラスチック(複数の原材料から成るプラスチック)を回収し、独自技術を使って再生プラスチックペレット「Repla®」を製造しています。
Repla®からは、レジ袋やコンテナなど身の回りの製品や工業製品までさまざまなものに生まれ変わります。

しかし、当社で作っているのはあくまで原料であるため、お取引の中心はBtoBとなり、世の中全体との接点が生まれにくいという特徴がありました。
そのため、プロのPRパーソンには最初から参画してもらうつもりだったのですが、誰でも良いというわけではありませんでした。

PRというと、きれいな言葉でテンポ良く発信するというイメージがありますが、私たちは社会性の高い事業をしておりますし、正確な内容を丁寧に伝えていくという姿勢でお仕事をしてくださるパートナーが必要でした。
その点、kushamiさんは工業的でBtoBニッチな分野にも強く、こちらの思いをしっかり汲んで発信してくださるということがわかり、お願いさせていただくことになりました。

飯嶋

最初にお話を伺ったときに、事業自体が社会課題と直接結びついていましたし、工場も保有されていて、事業としての準備もしっかりされていると感じました。
となると、あとは世の中のタッチポイントをどこに作るか、どのように世の中に語りかけるか、そして、BtoBのプラスチックリサイクルがどう「世の中ゴト」になるかを考えるのが私の仕事だと認識してスタートしたのを覚えています。

事業を世の中ゴトにするために必要な施策を幅広く実行

どのような支援内容なのでしょうか

黒川

あまり枠組みは意識せず、なんでもお願いさせていただいています。
kushamiさんはすでにある事実をプレスリリースに落とし込むだけでなく、その前段階として、今後の話題作りにつながりそうな取り組みそのものを継続的に提案してくださっています。

例えば、日本スタートアップ大賞やグッドデザイン賞をはじめとするアワードやピッチコンテストへのエントリーや、オウンドメディアの立ち上げ、イベント周りの支援など、PRってそこまでやるの?というところまで深く関わってくださいます。

一般的なPR支援業者さんは「こういう施策を実施したのでリリースを書いて」という要望には応えてくださるのですが、その材料である施策づくりからご支援いただけることは多くはないと思います。

飯嶋

esaさんの事業を世の中ゴトにするためには何が必要なのかという視点で、時流に合わせて有効と考えられるアイデアを柔軟にご提案・実践させていただいています。PRの仕事=プレスリリースを書くことだと思われがちなのですが、そもそも起業したばかり、事業展開がこれからの段階だとネタが足りない=プレスリリースを出すことがない、ということに悩まれている会社さんも多いです。なので、いろんな手法や切り口でこれから数年先の事業展開を見据えて種を蒔いておくことがスタートアップの最初のPRの初動として必要です。

その時点でのインパクトは小さいとしても、過去に発信してきたファクトが積み重なって後々信用を生み出し、その後事業を大きく成長する際の“説明コストの削減”につながるという流れを作り出すことができます。

黒川

esaでは、プラスチックリサイクルに関する意識・実態調査を行い、それを報告する「プラスチックリサイクル白書」という調査レポートを定期的にリリースしています。
これも、kushamiさんのご提案からスタートした取り組みです。公益性の高いレポートなので、社会課題を提示しそれを解決するための動きを行っている会社としてのPRや営業のドアノックツールになっています。

資金調達完了時のプレスリリースもkushamiさんにお願いしていますが、単に何億円の資金調達に成功したという事実だけにとどめず、その先に私たちがどんな挑戦を見据えているかまで温かく書いてくださる。
本当に大切なことを認識して伝えてくださっているなと常々感じます。

飯嶋

esaは単に再生プラスチック素材を製造している会社ではなく、その先の持続可能な社会を作っていく会社なのだということをしっかり伝えないといけないと思っています。
この背骨をさらに強化するために、オウンドメディアを作ったり、プラスチックリサイクル白書を作ったり、プレスリリースを書いたりといった具体的なアクションに落とし込んでいます。

黒川

kushamiさんは教育機関とのつながりも持っており、大学と連携したプロジェクトの提案やご紹介など、本当にできることが幅広い。
アイデアの壁打ち相手としてだけでなく、企画を遂行していく上でのパートナーとしても頼もしく感じております。

資金調達も見据え、客観的な視点から適切な表現を選ぶ

スタートアップが成長するにあたり、PRはどんな重要性があるのでしょうか

黒川

スタートアップというと、やはり資金調達をイメージされる方が多いと思います。ただ、投資家の方々に対して、何をどう伝えたら良いのか、自分たちだけではわからないこともあります。

投資家向けに公開する情報の方向性やボリュームが適切でないと、せっかくどなたかが投資を考えてくださっていても決断できないということになりかねません。
客観的な立場でありながらも理解度深く、発信をサポートしてくれるPRパートナーの存在は、とくに大きな資金調達に挑む企業にとっては不可欠ではないでしょうか。

飯嶋

黒川さんからは事業の本質的な情報をしっかりいただけるので、何をどんな順番でやるかの優先順位が非常に立てやすく感じております。
この組み立てを行わないと、技術的な専門性に焦点を当てすぎて、社会課題としての共感が得られにくくなったり、投資家にとってわかりにくいものになってしまいます。
私自身もある意味、つねに素人目線を忘れず、そのトピックに詳しくなりすぎないように「第三者の視点」を持つことを意識しながら、発信内容を考えています。

よくあるケースとしては、とても素晴らしい技術なのに、当事者からすると当たり前になってしまっていてきちんと触れられていない。 伝えてはいるものの、一般的でない専門用語が多用され、内容が難しく感じられてしまう…そんな発信になってしまうことはよくあります。
例えば「マテリアルリサイクル(廃棄物を新しい製品の材料として再利用するリサイクルのこと。
廃棄物を化学的に分解するケミカルリサイクルよりも環境にも経済的にも優しい)」という言葉を一般の人はまだ知らないですよね。

黒川

確かにそうですね。業界の人が当たり前に使っている言葉に対して、「この表現方法の方が望ましい」と言ってくれる存在は重要だと思います。当事者にはわからない微妙なニュアンスも含まれるので、客観的な立場からの助言はありがたいです。

飯嶋

壁打ちの中で黒川さんがおっしゃった「withプラ」というフレーズはすごくわかりやすかったです。脱プラ(脱プラスチック:プラスチックを使用せず、代替素材へ移行する取り組み)ではなく、プラスチックを賢く活用し、リサイクルを通じて持続可能な社会を目指すという考え方を「withプラ」として提示する。esaのやりたいことを端的に表しているフレーズなので、様々な場面で活用しております。

kushamiと共に目指す「世界観を伝えるPR」

kushamiをどんな会社におすすめできますか

黒川

本当にいろんな会社におすすめできると思っています。
PR領域における専門技術の高さに加えて、私がkushami飯嶋さんを評価している点は、言葉遣いや所作がしっかりしていて丁寧であるというところ。
私たちに代わって、メディア関係者など外の人にesaを勧めてくれる立場ですので、安心してお任せできる人である必要があります。

飯嶋

スタートアップの経営者は、事業の推進や外部との商談などで非常に忙しく、必ずしも自らメディア対応に時間を割くことができるとは限りません。そのため、私が代わりにメディアの担当者とお会いすることになります。つまり、「私が先方にとって初めて会うesaの人」になるわけです。だからこそ、言葉遣いや立ち居振る舞いも含めて、esaという会社の姿勢や価値観を正しく伝えることを意識しています。

今後kushamiにどんな支援を期待していますか

黒川

当社は現在3期目ですが、来期からはこれまでと違うフェーズに入ると感じています。
esaには、女性経営者で、環境事業に取り組んでいるというキャッチーな要素がいくつかあります。
そのため、創業当初から声をかけていただくことがすごく多かったです。ピッチコンテストへの出場も、スタートアップ期間だからできたことだと思っています。

一方、2024年には累計9.3億円の資金調達もできましたので、これからはさらに地に足をつけたPR施策を打っていく必要があるなと感じています。
新たな取り組みのひとつとして、世の中とのより幅広いタッチポイントを作るという目的で 8 Hachi Media という「循環型社会につながる学びと遊びをお届けするオウンドメディア」を立ち上げました。
8 Hachi Mediaの立ち上げと、それに伴うイベント開催も、kushamiさんにお手伝いいただいています。

飯嶋

これまでの3年間は「esaや黒川さんが何者であるか」を伝えるフェーズだったと思います。ここからは、esaがどんな世界を目指したいのかといった「事業のコアとなる世界観を伝える」フェーズに入っていきます。この広義でのPRのゴールを目指す上で、8 Hatchi Mediaの存在はとても重要なものだと考えています。世の中が興味を持っていることと、esaが伝えたい世界観とのタッチポイントとして機能させられると良いですね。

黒川

わかりやすく伝えようとすると、ウェルビーイングやSDGsといった耳あたりの良い言葉を選びがちですが、そういった表現に頼ると、最近よく聞く話だな、輪郭がわかりにくいなと受け取られてしまう気がします。自分達の世界観と世の中がしっかりリンクした表現方法をkushamiさんと一緒に探っていきたいですね。

(撮影:宮地 英司、取材・執筆:落合 達也)

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