PRは「発信」ではなく「ピント合わせ」
一般に「広報」や「PR」という言葉からは、大きなニュースリリースや華々しいイベントを通じて情報を拡散する姿が想起されます。しかし、kushamiは創業以来“やさしさ”と“実行力”を武器に、企業と社会の間に立って「世の中とのピントを合わせる」仕事に取り組んできました。
組織の内側と外側の間に立ち、社会の空気やトレンドを読み取りながらクライアントの思いや意図を社会の言葉に翻訳し、単に“伝える”のではなく“届く”形に整える。こうした境界線上の仕事こそが、PRの本質だと私たちは考えています。
kushamiの強み:境界線に立つやさしいプロフェッショナル
kushamiの強みは、何よりも企業と社会の“境界線”に常に立ち続けられることです。
特に、経済的価値だけでなく社会的価値を追い求める企業を支援するのが得意です。創業以来掲げる「やさしいコミュニケーションで、やさしい世界をつくる」というビジョンのもと、ヘルスケアや教育、環境、地域創生・まちづくりなど社会的意義の大きな領域に挑戦する企業や団体を支援してきました。社会課題に取り組む組織ほどPRやブランディングの重要性は高いものの、リソースが限られている場合も多い。kushamiでは、そうしたお客様に対しても柔軟なサポートを提供し、長期的に伴走する体制を整えています。
また、kushamiの支援は広報活動にとどまらず、ブランディングやSNS運用、ウェブサイト制作といったコミュニケーション全体を設計・実行できることも強みです。以下に、主な強みを整理します。
- スタートアップのPR支援実績
スタートアップや中小企業に特化したPR戦略の立案・実行を得意とし、認知度を高めるだけでなく、企業内にPR組織が根付くまで伴走します。 - 医療・教育・まちづくりなど社会課題に直結する領域の経験
医療機関や製薬企業、大学、行政機関など、社会的意義の高いクライアントを多数支援してきました。 - ブランディングとPRの両輪
コーポレートブランドの設計からビジュアル制作、ストーリー構築までワンストップで行います。 - 戦略から実行まで一気通貫
戦略立案やプロモートシートの設計はもちろん、プレスリリース配信、イベント実施、SNS発信、ウェブサイト構築といった施策まで責任を持って実行します。 - 多様なチャネルの活用
プレスリリースだけでなく、イベントやSNS、ウェブサイト制作など、課題やターゲットに合わせたチャネルを適切に組み合わせます。
これらの強みは、単に情報を拡散するのではなく、クライアントの価値や思いを社会的課題と結び付けて発信するためのものです。次に、具体的な事例を通じてkushamiのアプローチを紐解きます。
スピークバディ事例:個人の課題を社会課題へ引き上げる
AI英会話サービスを提供するスピークバディ様では、CEOが兼任でPRを行っていた状況から、kushamiが初期PR立ち上げから内製化までを支援しました。kushamiは「英会話という個人の課題を社会課題へ引き上げる」方法論のもと、2020年から2024年までの4年間、PRの設計から実行フローまで地道に伴走しました。
当時、スピークバディでは社内リソースが足りず、発信内容や方法も手探り状態でしたが、kushamiが伴走することで戦略的なPR活動が可能になりました。PRとマーケティングは成果の評価軸が異なり、PRは長期的に社会との対話を積み重ねる必要があります。kushamiはPRパーソンとして企業と社会の間に立ち、円安や企業成長の鈍化といった社会課題を英会話の文脈から捉え直すことで、メディアとの接点を作りました。
スピークバディのPRでは、生成AIの台頭やインバウンド需要の回復といった社会環境の変化を踏まえ、長期的な認知獲得を目指しました。メディアに対する提案時には、英会話を単なる個人学習ではなく日本企業の海外展開やインバウンド観光の課題と結び付けることで、“社会課題発信型”のPRを展開しました。これは、イベントを重視する“PRイベント型”や大企業が行う“提言型”と異なり、種まきを繰り返しながら社会との対話を通じて社会記号を生み出す方法論です。
さらに、kushamiはクライアントの社内にも入り込み、広報担当者の採用や業務フローの整備まで含めて支援しました。ドキュメントやプロモートシートを残し、最終的にはスピークバディが自走できる体制を整えています。このように、kushamiの仕事は単なる外部のPR会社ではなく、社内の一員のように寄り添いながら長期的な対話を続けるものなのです。
CCS事例:地域の若者育成事業に寄り添う「ミチシロカ」
もうひとつの例が、北海道の中標津町に本社を置く中央コンピューターサービス(CCS)様の産官学連携事業「ミチシロカ」です。ミチシロカは自治体や学校と連携したフィールドワークプログラムで、参加した学生の考える力や価値観を育成することを目指しています。プログラムは地方創生やまちづくりの一環として2022年に始まり、グッドデザイン賞も受賞しました。
ミチシロカの目的は、外部資本や大企業の誘致に頼らず、地域に根ざした事業を起こせる人材を増やすことにあります。kushamiは2022年のサービス立ち上げ時から運営に加わり、学生の一番近くにいる大人として相談役を務める一方、CCSの壁打ち相手として運営を支えています。学生が自治体で共同生活を送りながら自らテーマを考えて課題解決に挑むプログラムにおいて、大人は口出ししすぎず、かといって放任もしない絶妙な距離感が求められます。kushamiはその距離感を保ちながら、学生目線と企業・まちづくりの目線の両方を持って提案を行い、多角的な視点を提供しています。
弱み・課題意識
一方で、kushamiは大規模な企業ではありません。PRパーソンは飯嶋を中心に限られたサポートメンバーで構成されており、クリエイティブ制作などは業務委託メンバーに依存しています。そのため、同時に多数の案件を担当することは難しく、案件ごとに深く入り込むスタイルを取っています。また、飲食や化粧品などいわゆるライフスタイル領域には強みを持っておらず、どちらかというとBtoB寄りの案件が中心です。ただし、社会課題を抱えるtoC領域には意欲的に取り組んでいます。
こうした弱みは、kushamiがリソースを大量に投入するのではなく、クライアントの内部に入り込んで長期的に伴走する姿勢の裏返しでもあります。限られたチームだからこそ、一件一件の案件と丁寧に向き合い、やさしいコミュニケーションと実行力で成果を生み出すことを目指しています。
やさしい世界をつくるために
kushamiの仕事は、社会的意義のある事業と世の中の関心を結び付け、企業の思いを「世の中ゴト」に育てることです。私たちが目指すのは、単に話題を作ることではなく、社会との対話を通じて未来の価値観や常識をアップデートすることです。そのためには企業の内側に深く入り込み、社内の広報体制やブランディングを整えながら、外部の視点を保ち続ける“境界線”に立つ姿勢が欠かせません。
創業以来掲げてきた「やさしいコミュニケーションで、やさしい世界をつくる」というビジョンは、クライアントと社会の関係性をやさしく翻訳し、実行に移す姿勢そのものです。これからもkushamiは、小さなチームでありながら、一社一社の事業に深く向き合い、社会課題とビジネスの接点を見つけ出していきます。社会や地域に“ピントが合う”瞬間を増やすために、今日も境界線の上で対話を続けています。





