企業はニュースの「パーツ」を提供せよ
企業はしばしば「このプロダクトがすごい」「この取組が新しい」とアピールしたくなります。企業からの情報発信は、「ニュースそのもの」ではありません。
報道という完成されたストーリーを組み立てるための“パーツ”です。
必要なのは、“世の中との接点”を生み出す視点です。社会課題や流行、行政の動きなどの“文脈”に、自社の情報をどう接続できるか。
たとえば「10代のメンタルヘルスに関心が高まる中、Z世代向けのセルフケアアプリをリリース」など、背景とセットで提示することで、ニュース価値は一気に高まります。


企業や団体からの発信内容は、しばしば“完成された情報”として作ってしまう傾向があります。
しかし、報道現場の視点からすると、それはあくまで“記事の材料”であり、“ニュースになる部品”のひとつに過ぎません。
どのような社会背景と結びつくか、どのような人の関心と接点を持つか。
事実をそのまま出すのではなく、意図的に「世の中の会話に入り込む」ための角度でパッケージングする。
それがPRパーソンに求められる”PR発想”です。
いつも「境界線上」に立ち続けること
優れたPRパーソンは、常に“三つの視点”を行き来しています。
ひとつは、クライアントや自社の内部に深く入り込み、担当者以上に事業や背景を理解する視点。
もうひとつは、日々流れるニュースを敏感に捉える社会的な俯瞰視点。
そして三つめは、何も知らない生活者の視点――つまり“素人の目”です。
この三つを自在に行き来しながら、「これはニュースになるか?」「誰が面白がるのか?」「どんな価値として届きうるのか?」を考え続ける。
そして日常のニュースや出来事に触れるたびに、「これ、自社(あるいはクライアント)の○○と接点があるのでは?」と瞬間的に思考を走らせる。
PRとは、そうした“反射神経”と“視点の持ち方”を鍛え続ける仕事です。
「伝えたいこと」ではなく、「伝わる形」へ
多くの発信者は、自分たちが“伝えたいこと”に意識が向きがちです。
けれど、PRパーソンの役割は、その“熱意”や“想い”を、社会の中で「伝わる形」に再構成すること。
誰かに話したくなる。共有したくなる。立ち止まって考えたくなる。
それがプロのPRパーソンの基本姿勢です。
こうした視点で日々の情報に向き合いながら、社会と企業の接点を設計していく。
そんなストーリーや問いに変換してこそ、PRは力を持ちます。
そして、私たちkushamiには、こうした思考と実践を大切にするメンバーが集まっています。
一緒に取り組む中で、長期的にその価値を届けていければと考えています。