ただつくるだけではない、相手と伴走しているプロデュースのあり方を伝えたい
どういったきっかけでkushamiにPR支援を依頼されたのでしょうか?
もともと広報は専任の部署があるわけではなく、私と片山の2人で対応していました。ですが、通常業務との兼任だったのでどうしてもリソースに限界を感じていました。
特に緊急度が高かったのが、採用です。建築やデザインというと、やや学部や学科に限定されてしまう印象をもたれがちなせいか、我々が求めている資質や個性を持つ学生からの応募が、なかなかありませんでした。
そんなときに飯嶋さんと出会い、まずは採用サイトのリニューアルについてご相談しました。社外の方にPR・広報をお願いするのは初めてだったので、実は最初少し構えていた部分もあって。ですが、飯嶋さんは一方的に型に当てはめるのではなく、私たちの事業や背景を多角的に丁寧に理解した上で、企画を提案してくれた。その真摯な姿勢に、初めてお会いしたときから安心感をおぼえました。

ありがとうございます。私が最初に感じたカンケン(環境計画研究所の通称)さんの印象は、「答えを提示する側」というよりも、クライアントやエンドユーザーと一緒に「何が最適解なのかを考え続ける立場」にある方々だということでした。
マンションギャラリーの仕事においても、決められたものをつくるのではなく、背景や文脈を読み取りながらお客様と伴走している。採用広報においても、その点をきちんと伝えたいと思いました。

「全員、プロデューサー」に込めた、仕事に対する姿勢
リニューアルされた採用サイトでは、「全員、プロデューサー」というスタンスを打ち出しました。どんな意図があったのでしょうか?
以前の採用サイトはマンションギャラリーを手がけていることは伝わってきても、どんな人たちがいてどんな思いで働いているかまでは少し見えづらい印象がありました。
採用サイトをつくること自体は一つのゴールでしたが、その前提として「自分たちは何者なのか」を言語化することを重視しました。
カンケンさんの実際の業務は、高い専門性と責任を伴うものです。ただ、そのプロフェッショナルとしての実態が十分に伝わらず、結果的に採用のミスマッチにつながっていたのだと思います。
対話を重ねる中で印象的だったのは、皆さんのお仕事が、企画から仕上げまでを一貫して担うプロデューサーとしての動きだということでした。

そうなんです。単に箱や空間をつくるという言葉では表しきれない、ディレクション力やプロデュース力があることを伝えたかった。
サイトとしてはビジュアルだけで印象づけるのではなく、まずは言葉でスタンスを伝えることを意識しました。あえて物件や内装の写真は前面に出さず、読んでもらう設計にしたことで、仕事に対する姿勢が伝わりやすくなったのではないかと感じています。

最近も「全員、プロデューサー」という言葉が気になったので、と問い合わせてくれた学生さんがいました。明らかに今までと応募者のタイプが変わったので、今後どんな人たちが仲間になってくれるのか楽しみです。
私たちも日々クライアントと向き合いながらプロジェクトをつくる立場なので、自分たちの現状はある程度、整理できていました。ただ、それを社外に向けて発信するとなると「自社のことをこんなふうに言っていいのだろうか?」と遠慮が出てしまって。
それに対して、第三者のプロの視点から言葉にしてもらえたのが心強かったです。こちらの意図を的確に理解し、まるで中の人のような恐るべき理解力で会社を捉えた上で、ズレのないアウトプットをしてくださった。満場一致で「これはもうkushamiさんだ!」と、コーポレートサイトの刷新のほか、自社事業の総合的なPR支援もお願いすることになりました。

「空間」だけでなく、心を動かす体験を含めた「場」づくり
コーポレートサイトのリニューアルをはじめ、PR支援する上でどんなことを意識しましたか?
紫藤さんと一緒に実際にマンションギャラリーを見学させていただいたとき、単にモデルルームをつくるだけではなく、来場者がどんな感情の流れを経て購入を決断するのか、その体験全体も設計されていることがはっきりと伝わってきました。
エントランスに入った瞬間、がらりと空気が変わるんです。映像、模型、街並みの再現……と進むにつれて、「将来ここに住むかもしれない」という感覚が自然と立ち上がってくる。イメージの解像度が上がるにつれて、意思決定に必要な情報と体感が揃っていて、丁寧に設計された動線だと感じました。
一つの映画を観ているようでしたよね? そこが数年で解体される仮設施設というのも、刹那的といいますか。建築としての空間だけでなく、その場で過ごす時間や感情の動きまで含めて設計されている。そうした実態を伝えるには「場をプロデュースしている」という表現がしっくりくるのではないか、と。

初めてkushamiさんから「場のプロデュース」と聞いたときは予想外で驚きましたが、だんだんと自社の仕事を表すぴったりな言葉だと感じるようになりました。
「空間」だと物理的な要素に限定されがちですが、「場」と聞くと、人との関わりや、クライアントと対話しながらつくっているプロセスまで含めて伝わる。その違いは大きかったですね。

個人的には、社外にkushamiさんという気軽に相談できる存在がいるのがとても頼もしくて。
以前から、プロジェクトへの思いや、社員一人ひとりのタレント力を社外に発信したいと考えていたのですが、現業を抱えながらではなかなか手が回らなかった。今は「これ、どう思いますか?」と聞ける相手がいることで、発信そのもののハードルがぐっと下がりました。
社員同士ではなんとなく気恥ずかしかった社内インタビューも、客観的に入っていただくことで、より素直に話せるようになって結果的に魅力が引き出されているな、と。

異なる分野にも広がり始めた、「場のプロデュース」のフィールド
マンションギャラリーの知見をもって、ほかの領域にもチャレンジされていると伺いました。
都内にある学校法人井之頭学園 藤村女子中学・高等学校(2027年度より吉祥寺湧水中学校・高等学校に校名変更)では新校舎の建設計画が進んでいて、完成までの間、生徒たちは仮設校舎で学校生活を送ることになります。

当初は学校側は一般的なプレハブ型の校舎を想定されていたそうですが、生徒一人ひとりがかけがえのない青春時代を過ごす場として考えたとき、「本当にそれでいいのだろうか」という思いがあったと伺いました。
そんな背景のもと、環境計画研究所がプロジェクトに参画し、仮設でありながらも生徒の体験価値を高める校舎が実現しました。マンションギャラリーで培ってきた知見が、教育の現場にも活かされている。「こんなかっこいい取り組み、ちゃんと伝えないともったいない!」と強く思ったので、当初は予定されていなかった内覧会の実施を提案しました。

内覧会は初めての取り組みで、正直ドキドキしています。でも、社内だけではこの機会をどう活かせばいいか分からなかったと思うのでありがたいです。
採用サイトやコーポレートサイトの刷新をきっかけに、今までとは異なる分野のクライアントさんとの出会いが確実に広がっているんですよね。
以前のサイトは、空間づくりのクオリティは伝えられていた一方で、「どんな人たちがつくっているのか」までは伝わりづらかった。その部分が補完されたことで、新しい挑戦につながっている実感があります。

これからも隣で一緒に、問いながら考え続けたい
最後に、カンケンさんの今後の展望を教えてください。
大きく分けて、二つの軸があります。一つはマンションギャラリーで培ってきた空間プロデュースのノウハウを、他の業界にも派生させていくこと。
もう一つは、「Vision Room / ヴィジョンルーム」と呼んでいる3面LED空間を活用した表現です。LEDというハードを提供するだけでなく、そこでどんな体験を生み出すのか。演出やコンテンツも含めて企画・プロデュースできるのが、私たちの強みです。その価値を、不動産業界に限らずより幅広い分野へと展開していきたいです。
そうした挑戦を、引き続きkushamiさんと一緒に取り組んでいけたら嬉しいです。

3面LEDの空間も、単に映像を映すだけではなく、光や奥行きを使って空間そのものを拡張するような体験づくりを意識しています。
今後、新しいプロジェクトが増えていく中で、「私たちはどんな会社なのか」「どんな価値を提供できるのか」をきちんと伝えていくことが、より重要になってくるでしょう。
マンションギャラリーというニッチな領域にいた自分たちが外に出ていくためには、どう伝えるかが大きな課題でした。kushamiさんに力を貸していただき、次のフェーズへ進むための土台をつくってもらえた一年だったと感じています。

新しいことに挑戦しながら、悩むだけではなく、楽しみながら一緒に広報やPRを考えていける。私たちにとって、kushamiさんはそんなパートナーです。
kushamiさんといると、なんか楽しいんですよね。
ありがとうございます。私たちも「これが唯一の正解です」と提示するタイプではないので、皆さんとともに常に「どうあるべきか」「どう伝えるべきか」を問いながら考え続けている感覚があります。そのプロセス自体が楽しいんですよね。
環境計画研究所さんのかっこよさを、世の中にもっと伝えていきたい。これからも一緒に新しい挑戦を重ねていきましょう。






